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44.工場リフトの選び方や費用は?種類ごとの特徴と注意点を解説

2026/10/06 更新:2026/10/06

44.工場リフトの選び方や費用は?種類ごとの特徴と注意点を解説

工場リフトとは工場の上下階へ荷物を運ぶ昇降機です。本記事ではリフトとエレベーターの違いや、導入時の費用の内訳を解説します。自社に最適な選び方や運用時の注意点も把握して安全な設備を導入しましょう。

工場リフトは荷物専用の昇降設備であり、人が同乗できるエレベーターとは法令上の扱いや導入費用が異なる設備です。
本記事では、リフトとエレベーターの明確な違いや種類ごとの特徴、初期費用や維持費の内訳から選び方までを順に整理します。

 

この記事の要約

• リフトは荷物専用であり人が乗れないのに対し、エレベーターは人の同乗が可能である
• 床面積が1平方メートル以下かつ高さ1.2メートル以下の設備は小荷物専用昇降機に分類される
• 導入時は設備本体と工事費だけでなく、建築確認申請費用や定期点検などの維持費も発生する
• 自社に合う設備を選ぶ際は、作業員の同乗の有無と、荷物の最大重量やサイズを基準に判断する
• 貨物用リフトに人が乗ることは違法行為であり、重大な労働災害につながるリスクがある

 

Ⅰ 工場リフトとエレベーターの違い

工場リフトとエレベーターは、労働安全衛生法や建築基準法において明確に区別されています。

 

       

 

1.荷物と一緒に人が乗れるかで区別する

人が荷物と一緒に乗れるかどうかが、リフトとエレベーターを分ける最大の違いです。
法令上、リフト(簡易リフト)は荷物の運搬のみを目的としており、クレーン等安全規則第207条により作業従事者を搬器に乗せることは禁止されています(修理・調整・点検等で危険を生じるおそれのない措置を講じる場合を除く)。一方のエレベーターは人が乗ることを前提とした安全装置が義務付けられており、作業員が荷物とともに目的の階へ移動できる仕様です。

導入コストを抑えたい場合はリフトが有利ですが、搬送時の作業効率を重視する場合はエレベーターの選定が必要となります。

参考:クレーン等安全規則 | e-Gov 法令検索

 

2.カゴの床面積や高さの基準で分類する

荷物を載せるカゴの寸法によっても、昇降機は法的に細かく分類されます。
建築基準法施行令第129条の3第1項第3号では、物を運搬するための昇降機のうち、かごの水平投影面積が1平方メートル以下かつ天井の高さが1.2メートル以下のものを「小荷物専用昇降機」と定義しています。この寸法を超えるものは建築基準法上の「エレベーター」として扱われ、確認申請などより厳密な基準が適用されます。

ただし労働安全衛生法上の簡易リフト(かごの床面積1平方メートル以下、または天井の高さ1.2メートル以下で荷物のみを運搬するもの)は、令和7年11月1日施行の建築基準法施行令改正により、建築基準法のエレベーター・小荷物専用昇降機に係る規制の対象外となり、クレーン等安全規則が適用されます。
自社で運ぶ荷物の最大サイズを事前に把握しておくことが、適切な設備を選ぶ第一歩と言えます。

参考:小荷物専用昇降機に関する法改正について – 山口県ホームページ
参考:建築:簡易リフトに関する法令の手続きの変更に関するリーフレットについて – 国土交通省

 

 

Ⅱ 工場リフトやエレベーターの種類

工場へ導入できる昇降設備は、用途や積載量に応じていくつかの種類に分かれます。

昇降設備の種類 特徴と主な用途

      

 

 

1.人荷用エレベーターで作業員ごと運ぶ

人荷用エレベーターは法規上の取扱いは乗用エレベーターと同じで高い安全基準が求められますが、床面積に対する積載荷重を運搬する荷物に合わせて大きく設定できるため、台車やハンドパレットに乗せた荷物を人が押したまま乗り込めます。上下階での荷役作業がスムーズになり、作業員が階段を使って移動する手間を省ける点が大きな強みです。導入費用は高額になりますが、工場内の業務効率を向上させる効果が期待できます。

参考:大阪市:エレベーター等の安全確保について (…>建築基準法の概要など>建築物の安全安心の確保)

 

2.貨物用エレベーターで重量物を運ぶ

貨物用エレベーターは、自動車や大型の機械部品など、重量のある荷物を運ぶことに特化しています。荷扱いをする作業員や運転者のみが同乗でき、一般の人の乗降は不可能です。大きな積載量と広いカゴを備えているため、フォークリフトごと乗り込んで荷物を運搬できるタイプも存在します。大量の資材を頻繁に昇降させる大規模な製造現場や物流倉庫に適した選択肢です。

参考:大阪市:エレベーター等の安全確保について (…>建築基準法の概要など>建築物の安全安心の確保)

 

3.貨物用リフトで導入費用を抑える

貨物用リフト(簡易リフト)は、エレベーターと比べて導入費用を大幅に抑えられる設備です。人が乗らないことを前提とした設備であり、建築基準法上のエレベーター規制の対象外であるため、本体価格や設置工事費が安価に収まる傾向があります。

ただし、操作はカゴの外から行う必要があり、荷物を載せた後は作業員自身が別の手段で移動しなければなりません。コストを最優先し、人の移動負担が少ない小規模な現場に向いています。

 

4.小荷物専用昇降機で小物を迅速に運ぶ

小荷物専用昇降機は、飲食店などでよく見られる配膳用リフトと同様の構造を持つ小型の設備です。カゴのサイズが法的に制限されているため、用途は軽量な部品や書類、小型のダンボールなどを運ぶことに限られます。設置スペースを最小限に抑えられ、建物のちょっとした隙間を活用して導入できる点がメリットです。フロア間で細かい荷物を頻繁にやり取りする現場において、高い利便性を発揮しやすい設備です。

 

 

Ⅲ 導入時に発生する費用の内訳

昇降設備の導入には、本体価格以外にも複数の費用項目が関わります。

     

 

 

1.設備の規模で本体価格と工事費が変わる

昇降機の初期費用は、積載量や階数、扉の仕様などによって大きく変動します。
簡易リフトであれば100万円台〜数百万円程度から導入可能なケースもありますが、大型の貨物用エレベーターでは本体・工事費合わせて1,000万円を超える予算が必要となる場合があります。

また、既存の建物に後付けする場合は、床に穴を開ける貫通工事や昇降路(シャフト)の建設工事が追加で発生します。建物の構造によって工事費が膨らむこともあるため、事前の現地調査が重要です。

 

 

2.法令に基づく申請や届出費用を見込む

エレベーターや小荷物専用昇降機(フロアタイプ)を設置する場合は、建築基準法に基づく建築確認申請と完了検査が必要です。簡易リフトは建築基準法上の規制対象外のため、単独での確認申請(別願申請)は不要です。ただし、建築物の新築等に伴う併願申請では、かごや昇降路の位置を示す図書の添付が必要です。

また、積載荷重0.25トン以上の簡易リフトは、クレーン等安全規則第202条に基づく「簡易リフト設置報告書」を所轄の労働基準監督署長へ提出する必要があります(0.25トン未満は届出不要)。

 

参考:小荷物専用昇降機に関する法改正について – 山口県ホームページ
参考:工場等に設置されるエレベーターに関する建築基準法の手続きについて | 四日市市役所
参考:建築基準法令における簡易リフトの規制の合理化について | BEEC MAGAZINE | 一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター
参考:クレーン等安全規則 | e-Gov 法令検索 (第二百二条)

 

 

3.定期点検や電気代などの維持費を見込む

エレベーターや小荷物専用昇降機(フロアタイプ)は、建築基準法第12条第3項に基づき、一級・二級建築士または昇降機等検査員による定期検査を受け、結果を特定行政庁へ報告する費用がかかります。

簡易リフトはこの定期検査報告の対象外ですが、積載荷重0.25トン以上の簡易リフトについては、クレーン等安全規則第208条に基づく年次の定期自主検査(1年以内ごとに1回)および第209条に基づく月次の定期自主検査(1か月以内ごとに1回)が必要です。加えてメーカーとの保守契約料、電気代、年次検査費用などを見込みます。

参考:建築:昇降機(エレベーター、エスカレーター等)について – 国土交通省
参考:建築基準法令における簡易リフトの規制の合理化について | BEEC MAGAZINE | 一般財団法人 日本建築設備・昇降機センター

 

 

Ⅳ 自社に合う工場リフトの選び方

  
予算や運用体制に合わせて、最適な設備を選定するための基準を解説します。

      

 

 

1.作業員が一緒に乗るかを見極める

人が荷物と一緒に乗る必要があるかどうかで、エレベーターとリフトのどちらを選ぶかが決まります。台車を押したままの作業や、上下階での荷受けを同じ作業員が行う場合は、人荷用エレベーターが適しています。
一方で、階ごとに別の担当者が配置されており、荷物だけを上下させれば済む環境なら、安価な貨物用リフトで十分に要件を満たせるケースが多いです。現場の作業導線を詳細に分析して判断することが重要です。

 

2.運ぶ荷物の重さやサイズを確認する

日常的に運搬する荷物の最大重量と寸法を正確に把握し、それに適した積載量とカゴの広さを選びます。ハンドパレットや台車を使って搬入する場合は、荷物だけでなく搬送器具の重さや取り回しのスペースも考慮しなければなりません。ギリギリのサイズを選んでしまうと、少し大きな資材が入荷した際に対応できず、業務に支障をきたすおそれがあります。

 

3.今後の事業拡大を見据えて仕様を決める

現在の取り扱い量だけでなく、数年先の生産計画や事業拡大を見越してスペックを決定することも検討に値します。将来的に荷物の量が増えたり、より重い製品を扱うようになったりした場合、既存の昇降機では対応しきれなくなるおそれがあります。
設備の後からの拡張や入れ替えには多大なコストと工期がかかるため、あらかじめ余裕を持たせた積載量や速度を選んでおくことが効果的な対策となります。

 

4.建物の構造や設計段階からリフト計画を組み込む

昇降設備の選定は、工場の建物構造と切り離して考えることができません。
リフトやエレベーターを設置するには昇降路(シャフト)を通すための開口部やピット(底部の掘り下げ)が必要であり、建物の柱や梁の配置、床の耐荷重によって設置できる機種やサイズが制約を受けます。とくに既存の建物へ後付けする場合は、構造の補強工事や床の貫通工事が追加で発生し、費用が膨らみやすい点に注意が必要です。

一方、新築や大規模な改修のタイミングであれば、建物の設計段階からリフトの位置や仕様を織り込むことで、構造的な無理が生じにくく、工事費を大幅に圧縮できます。搬入口からリフトまでの動線、リフトから作業エリアへの動線を建物全体のレイアウトと一体で設計すれば、日々の搬送効率の大幅な向上も見込めます。
設備単体のカタログスペックだけで判断するのではなく、建物の構造と運用動線をセットで検討することが、導入後の後悔を防ぐうえで重要な視点です。

【関連記事】工場設計の基本と成功のポイントとは?流れからコスト最適化まで徹底解説

 

 

Ⅴ 導入後の運用で気をつけること

設備を安全かつ合法的に使い続けるために、運用段階で守るべきルールを確認します。

       

 

 

1.建築基準法などの法令基準を遵守する

エレベーターおよび小荷物専用昇降機(フロアタイプ)の所有者・管理者には、建築基準法第12条第3項に基づく定期検査と特定行政庁への報告義務が課せられています。一方、簡易リフトはこの定期検査報告の対象外ですが、積載荷重0.25トン以上の簡易リフトについては、事業者にクレーン等安全規則に基づく年次・月次の自主検査義務があります。 定期報告を行わなかったり虚偽の報告をした場合は、建築基準法第101条により100万円以下の罰金に処される可能性があり、事故時には管理責任も厳しく問われます。

参考:罰則規定|概要|定期検査報告制度|中部ブロック昇降機等検査協議会

 

2.貨物用設備に人が乗る違法行為を防ぐ

簡易リフトに人(作業従事者)を乗せる行為は、クレーン等安全規則第207条で禁止されており、重大な事故を招く危険な行為です。また、小荷物専用昇降機は建築基準法上、かご内に人が乗ることを想定していない構造の昇降機として定義されており、人の搭乗は想定外の危険な使用となります。

参考:クレーン等安全規則 | e-Gov 法令検索
参考:小荷物専用昇降機に関する法改正について – 山口県ホームページ

 

Ⅵ まとめ

工場リフトの導入は、人の同乗の有無や積載量、適用される法令基準を正確に理解し、自社の用途に合致した設備を見極める作業です。導入後も定期点検や安全運用の徹底が求められ、初期の本体費用や工事費だけでなく、長期的なランニングコストも視野に入れる必要があります。

しかし、本記事で解説したとおり、リフトの選定は設備単体の比較だけでは完結しません。建物の柱や梁の配置、床の耐荷重、昇降路の確保といった建物構造の制約を踏まえたうえで、搬入口から作業エリアまでの動線全体を設計に反映する必要があります。関連法令の読み解きや行政手続きまで含めると、通常業務と並行して担当者が独力で進めるには負担が大きく、計画が遅れるケースも少なくありません。

ワイズは、神奈川県を中心に工場・倉庫の設計から建築までを専門とする建設会社です。建物の構造設計と昇降設備の選定・設置工事をワンストップで対応するため、後付け工事による追加コストや設計と設備のミスマッチを防ぎます。既存施設へのリフト増設や改修にも対応しており、現場の動線分析に基づいた最適な設備配置をご提案します。リフトの導入を含む工場・倉庫の新築や改修をご検討の方は、お気軽に無料見積もり・ご相談をお申し付けください。

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